「アンチエイジング」という考え方は美容面でも健康面でも常識となってきました。
なかでもカラダを老化させる原因として「酸化」という言葉が広く知られるようになって、皆さんの中にもカラダを錆びさせない“酸化対策”を意識している人が多いのではないでしょうか。
では、最近注目を集めている「糖化」という言葉をご存知ですか?
ある研究によるとカラダの「糖化」は「酸化」よりも老化のスピードを速めるといわれています。怖いですよね!
そこで今回は「糖化」とは何か、それを抑制する「抗糖化」と抗糖化作用が高い食べ物まで一気にまとめました。
糖化とは?
「糖化」というのは、食べ物から取り入れた糖質のうちエネルギーとして消費されずに残ってしまった“糖”と、体内の細胞や組織を構成する物質である”タンパク質”が結びついて「AGE(終末糖化産物)」と呼ばれる老化物質に変化する現象のこと。
これだけではイメージするのが難しいかもしれません。
この現象をわかりやすく例えるのによく用いられるのが“ホットケーキ”。
ホットケーキの材料は、卵や牛乳などの“タンパク質”に小麦粉や砂糖といった“糖質”を混ぜ合わせたものです。これをフライパンで加熱すると美味しそうなキツネ色の焼き色が付きますよね。
このキツネ色(茶色)に変化する現象を「メイラード反応」というのですが、体内の「糖化」はこのホットケーキのように細胞が焦げたような状態のことなのです。
老化の原因としてよく知られている「酸化」はカラダの錆び(サビ)と呼ばれるのに対して、タンパク質と糖が結びついて発生する「糖化」はカラダの焦げ(コゲ)と呼ばれ老化の2大原因だとされています。
糖化が良くないのはどうして?
さて、余分な糖質とタンパク質が結びつくことが「糖化」だということですが、体内で糖化現象が起こるとどのような影響があるのでしょうか?
骨と糖化
糖化はタンパク質が関係しているため「骨は関係ないのでは?」と思うかもしれません。
実は体内のタンパク質の約1/3は「コラーゲン」として存在しているといわれています。この「コラーゲン」は皮膚だけでなく血管や軟骨、骨など全身に存在していて、骨の体積の約50%はコラーゲンで構成されています。
骨の中ではコラーゲンの繊維が網状に張り巡らされていてちょうど鉄筋のように骨を支えており、その上にカルシウムなどが結びついて丈夫でしなやかな骨を構成しています。
ところが糖化したタンパク質は“硬くなり劣化する”という特徴があるため、骨のコラーゲンが糖化すると古くなった鉄筋が脆くなるのと同じように骨本来のしなやかさを失い、脆くなって骨折を起こしやすくなったり骨粗しょう症の原因になったりするのです。
血管と糖化
私たちのカラダ全身の巡っている血管もタンパク質で構成されています。
そして血管を構成しているタンパク質が糖化すると、本来なら太くてしなやかさがある動脈の血管が硬くなり脆くなる「動脈硬化」を引き起こす原因になります。
このように血管が硬くなったり脆くなったりすることで、カラダの各臓器や脳へ血液が十分に流れにくくなり、心臓や脳、内臓などの機能が低下していくだけでなく「心筋梗塞」や「脳梗塞」などの命にかかわる危険な病気へのリスクが高くなります。
肌老化と糖化
肌の糖化は、骨や血管とは違って目に見えてわかりやすいかもしれません。
多くの人がイメージしているように、肌のタンパク質といえばコラーゲンやエラスチンなど肌のうるおいや弾力成分です。これら肌のコラーゲンやエラスチンが糖化するとどうなるのでしょうか?
まず見た目で分かりやすいのは“肌のくすみ”。「糖化現象」で例に出したタンパク質と糖が過熱して結びついた“ホットケーキ”の見た目がキツネ色(茶色)になるように、肌で糖化したタンパク質も褐色(茶色)です。それで肌の透明感が損なわれて茶色っぽいくすみとなって表れます。
さらに肌のハリや弾力に関わるコラーゲンやエラスチンが糖化すると“硬くなり劣化して”肌のハリや弾力が失われてしまいます。こうしてシワやたるみの原因になるのです。
さらに肌が糖化すると肌のターンオーバーが遅くなってシミの原因にもなります。
糖化の影響はそれ以外にも
人間のカラダはほとんどがタンパク質で構成されているため骨や血管、肌以外にも様々なところで糖化の影響を受けます。
糖尿病やその合併症、目のタンパク質の糖化による白内障、アルツハイマー認知症など様々な病気の原因になることが近年の研究で明らかになっています。
抗糖化、糖化対策の方法
ここまでで「糖化」がカラダに与える様々な影響について知ることができました。では、カラダの糖化を防ぐために何をすればいいのでしょうか?
ここからは糖化対策について考えましょう。
糖分を控える
そもそも「糖化」とは食べた糖質のうちエネルギーとして消費されずに残ってしまった“糖”が”タンパク質”が結びつくことですから、消費しきれないほどの糖質を摂らないように、あらかじめ控えることが大切です。
糖質と聞くとスイーツなどの甘いものを思い浮かべるかもしれませんが、ご飯やパン・麺類などの炭水化物も糖質です。またジュースなどにも多くの砂糖が含まれていますから摂取量に気をつけましょう。
血糖値を急激に上げない
糖質は生きていくために欠かせないエネルギーですから、全く摂らないというのも健康的ではありません。ただ、血糖値を急激に上げないための工夫が必要です。
例えば食事の際に真っ先に主食のご飯やパンを口にするのではなく、先に野菜サラダや酢の物、タンパク質である魚やお肉を食べるといった順番を意識することで、血糖値を急激に上がりにくくすることができます。
食後の軽い運動
血糖値は食後30分~1時間でピークになるといわれています。
そのタイミングに軽いウォーキングなどの有酸素運動をすると、食事で取り入れた糖をエネルギーとして使ってしまうことができます。
こうして糖を残さず血糖値も下がるので効果的に糖化対策することができます。
抗糖化作用のある食べ物
「糖化ストレス」を研究している同志社大学では、500種類以上の食品について調べた結果、糖化を抑制する作用をもつ「抗糖化食品」が確認されています。
これらの食品を食べることによって糖化を防ぐことができるなんてうれしいですよね。
ここでは、同志社大学の研究結果に加えて、抗糖化作用が高いといわれている食品をランキングでご紹介します。
第1位 モロヘイヤ
スーパーで手に入る野菜の中で、最も抗糖化作用が高いのが「モロヘイヤ」です。
モロヘイヤは古代エジプトでは「王様の野菜」と呼ばれるほど大切にされてきた植物。今ではスーパーでも手軽に購入することができる身近な野菜ですよね。
モロヘイヤは、糖化反応によって生成されたAGEsの分解や排出を促進する効果があることが分かっています。またモロヘイヤに多く含まれる“ムチン”というネバネバ成分には、糖の吸収を穏やかにする効果もあります。
モロヘイヤは定番のおひたしやナムルだけでなく、スープの具材や炒め物など色々な調理法で美味しく食べることができます。
第2位 サニーレタス
サニーレタスとは “リーフレタス”の一種で、葉が縮れていて葉の先が褐色になっているレタスのことです。サニーレタスも一年中スーパーで手に入れることができる野菜で、しかも抗糖化作用が高い野菜です。
通常のレタスは「淡色野菜」ですがサニーレタスは「緑黄色野菜」で栄養豊富。
しかもサニーレタスは生で食べることができるので、サラダや料理の付け合わせとして食べられますしサッと炒めたり和え物にしたりして食べることもできます。
第3位 ブロッコリースプラウト
ブロッコリースプラウトとはブロッコリーの種から発芽した若い芽のこと。近年栄養価が注目されてスーパーで手に入るようになりました。
ブロッコリースプラウトに含まれる「スルフォラファン」と呼ばれる成分には、糖化反応によって生成されるAGEsの生成を抑える効果があるといわれています。
スルフォラファンは噛むときに細胞が壊れて吸収が高まるので、よく噛んで食べるようにしましょう。おすすめは生で食べること。サラダやナムルなどの和え物や、スムージーにしてもいいですよ。
第4位 ヨーグルト
糖化の原因となる「血糖値の急上昇」を減らすために、食事の前にヨーグルトを食べるのがおすすめです。ヨーグルトに含まれる乳酸には、小腸で糖が吸収されるスピードを緩やかにする作用があり血糖値の急上昇を抑制することができます。
さらにヨーグルトの整腸作用によって腸内環境が整えられると、体内で発生したAGEsの排出にもつながります。食事の前に食べるヨーグルトは、お砂糖が入っていない無糖タイプにするのがポイントです。
第5位 ルイボスティー
スーパーでも簡単に手に入れることができるハーブティーで、ノンカフェインなため妊婦さんに好まれることが多いルイボスティー。そんなルイボスティーにはAGEsの分解を促進する効果が期待できます。
マグネシウム・カリウムなどのミネラルの他、ビタミンC・ポリフェノールなどの栄養素に加えて「SOD酵素」という抗酸化成分も含まれていて、抗糖化だけでなく抗酸化にも高い効果が期待できます。
ルイボスティーはしっかり煮だして成分を抽出し、ホットまたは冷ましてアイスで飲むことができます。
今から糖化対策を!
いかがでしたか? 今回は「糖化」とは何か、また「抗糖化対策」や抗糖化作用が高い食べ物についてまとめました。
余分な糖とタンパク質が結びつくことによって体内で引き起こされる「糖化現象」。肌のくすみやシミなどの見た目に表れるだけでなく血管や骨・内臓など体内の様々なところで老化を引き起こし、カラダの不調や病気の原因になることが分かりました。
対策としては食べる糖質の量を減らすことや軽い運動などがありましたが、食べるだけで「抗糖化作用」が得られる食品もあります。
今回ご紹介したのはスーパーで手に入る身近な食品ばかりですし、手軽に食べることができるものです。これらを意識して食べることで糖化対策ができますよ!
さっそく今日から糖化対策を始めてみませんか?
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